とても良くある質問。
「登山の経験が無いんですが、私でも登れますか?」
「体力に自信が無いんですが、大丈夫でしょうか?」
私の回答は
「屋久島の登山ツアー、特に縄文杉の日帰りコース参加者のほとんどは登山初心者で、普段運動をしていない方も多いです、それでもリタイア率は1%ないと思います」
と答えています。
「なら、私たちも大丈夫じゃない?」「いけんじゃね?」
と、思うじゃないですか。
私の回答は、縄文杉を見て帰ってこれるいう話であって、「体力的に無理なく、快適に登山が楽しめますよ」という意味ではないんです。
縄文杉の日帰りトレッキングに参加して、下山後は足を動かすのも痛くて歩行に支障が出るといった方も多いし、翌日は疲れ切ってせっかく予約していたアクティビティをキャンセルするといったケースも少なくありません。
でも、体力って個人差があるし、山歩きの経験の差もある。それに、初めて登る山が自分にとってどれくらいしんどいかなんて、なかなか判断出来ませんよね。普段登山をしていない方であればなおさらだと思います。
そこで、今回は登山にどれ位体力が必要なのかを示す「ルート定数」なる物をご紹介します。
ルート定数は個人の体力差や経験を考慮せずに、その山がどれくらいの難易度なのかを示すものです。
このルート定数を基に各地域では山のグレーディング表なども作られています。
詳しい紹介は以下のリンクから
そこで私は、この連休明けのスキをついて屋久島の主要登山ルートのルート定数を調べて、個人的にグレーディングしてみました。
このグレーディング表では、所要時間に休憩が含まれていない点にご注意ください。
予想消費カロリーも記載しているので、食糧がどれ位必要かもわかりますね。
この表についてはヤマケイオンラインのサイトを利用しています。
ルート定数は以下の様に評価されています。
10前後 体力的にやさしく初心者向き
20前後 一般的な登山者向き
30前後 日帰り登山の場合、健脚者向き
40以上 日帰りでは困難。1泊以上の計画が必要
縄文杉の日帰りについては、ルート定数が40を超えるものの平坦なトロッコ道が大半を占めるので40以下と個人的には考えています。(それでも山中泊の方がオススメですが。。。)。
こうしてみると、白谷雲水峡~縄文杉~白谷雲水峡の日帰りと、白谷雲水峡~縄文杉~荒川登山口の日帰りが特にルート定数が大きい事がわかります。
この2コースはトロッコ道をそんなに歩かないので、トロッコ道の平坦さは考慮されなません。
このコースの日帰りトレッキングを取り扱っているツアー会社もありますが、安全や安心を担保するガイド会社として、このコースを販売するのは如何なものでしょうか。
ツアーの中身としてもタイムスケジュールに追われるし、森を楽しむ事も出来ないので全くオススメ出来ません。
屋久島のメインコースを効率よく1日で歩きたいのもわかりますが、中身が伴わない無茶なコースに参加して高いお金を払うくらいなら、一日はガイドを雇って、残りはガイドを雇わずに歩くとかしたほうがマシです。それか山中泊のツアーへの参加がおすすめです。
ちょっとdisってしまいましたが、事実登山は遊びなんですから、楽しく歩ける登山計画をたてましょう!
ちなみに縄文杉日帰りトレッキングでトロッコ道を外したルート定数を見ると
距離:4.1km
コースタイム:4時間5分
標高差:462m
ルート定数:13
むむむ、トロッコ道を外すとルート定数は意外とそんなに高くない。
やはり、あの長い(往復16km)トロッコ道が縄文杉のポイントなんですね。
このルート定数を地元の山と比較すると、屋久島登山の予行練習も出来ます。
例:
筑波山(御幸ケ原コース~男体山~女体山~白雲橋コース)
ルート定数:18
標高差:872m
高尾山(6号路)
ルート定数:16
標高差:771m
どちらも関東の山ですが、これらの山を登る事が出来れば縄文杉の日帰りトレッキングはトロッコ道を含めても登れるはずです。
これから、きっと夏休みの計画をたてられると思いますが「私には登山なんて無理」とか考えずに、まずは地元の山のルート定数を調べて、試しに登ってみるのも良いと思います。
逆に「縄文杉なんて楽勝でしょ」とか、「行けばなんとかなるでしょ」とか考えられている方も今まで登った山のルート定数を調べればその自信が本物なのかもわかります。
何より地元の山に登ってみる良い機会になると思いますよ!
私達ガイドは、ルート定数には評価されない山の楽しさを提供しています。
ルート定数を調べたら、ぜひ次はガイドを検討してくださいね。
ガイドの評価をするのはお客様です!
楽しみにまっています!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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